駆け落ちしたお姉ちゃんの代わりに課長と結婚して、半年を迎えた。

会社では直属の上司と部下、プライベートはルームメイト…と言うような感じで形だけの結婚生活を送っている。

実家には1度も帰っていない…と言うよりも、帰れないと言った方が正しいかも知れない。

場の雰囲気に飲まれたわたしもわたしで悪いけど、宣言してしまったわたしもわたしだ。

何で課長と結婚するなんて宣言しちゃったんだか…。

そう思いながら寝室に入ると、前髪を留めていたヘアピンを外した。

パサリと長い前髪が落ちてきたので、それを耳にかけた。

前髪をポンパドールにしているのはおしゃれ…と言うよりも、汗と前髪の刺激で額に吹き出物が出ないようにするための対策だったりする。

カバンからスマートフォンを取り出すと、チカチカと画面が点滅していた。

指で画面をタップすると、メールがきていた。

「誰からかしら?」

そう思いながら画面をタップすると、
「あっ…」

つきあって2年目になる彼氏の圭介からだった。