嘘とワンダーランド

「意地を張って、課長のことを避けてごめんなさい。

そのうえ、課長の過去を蒸し返すようなマネをしちゃって…」

そう言ったわたしに、
「そうだ、忘れてた。

そう言えば、お前はどこで千沙と俺がつきあっていることを知ったんだよ」

課長が思い出したと言うように言った。

話をしたことがない自分の過去をわたしが知っていたことに、彼が驚いていたことを思い出した。

「京や…京極さんに頼んで、調べさせてもらったんです。

彼の友人に千沙さんと同じ保険会社に勤めている友人がいて、課長とつきあっていたことを教えてもらいました。

あの、わたしが勝手にやったことなので京極さんは…」

「わかってる、あいつはクビにしないよ」

わたしの言葉をさえぎるように、課長が言った。