嘘とワンダーランド

「ウソ…」

呟くように、わたしは言った。

やっぱり、お姉ちゃんの身代わりでもいいって思ってたんだ。

そう思っていたら、
「最初は、って言っただろ？」

ポンと、頭のうえに課長の手が置かれた。

「援助が何だでどうだとは言え、こっちは長い間つきあっていた恋人と別れて結婚するって言うのに、肝心の相手は逃げ出した。

しかもその理由が駆け落ちで…正直、笑えねーなって思ったよ」

「それは、ごめんなさい。

お姉ちゃんにつきあっていた相手がいたことを知らなくて…」

呟くように謝ったわたしに、
「いいんだよ、もう終わったことなんだから。

好きな者同士を身勝手な理由で引き裂くのはよくない」

課長が慰めるように言った。