嘘とワンダーランド

その後で課長と寄り添うように、リビングのソファーに腰を下ろした。

「悪かったな」

腰を下ろしたとたん、課長が言った。

「何がですか?」

そう聞き返したわたしに、
「お前がそんなにも悩んでいたことに気づいてやれなくて悪かった。

自分は早苗さんの身代わりだと思って結婚したんだって、相当なまでに悩んでたんだろ?」

課長が言った。

ああ、そのことか。

でもあれは、課長も課長で悪いとわたしは思っている。

半年が経った今でも、わたしは課長が言ったことを覚えているんだから。

「だって、かちょ…正文さんがわたしでもいいなんてことを言ったから」

そう言ったわたしに、
「最初は本当にそう思ってたよ」

課長が言った。