嘘とワンダーランド

「もうそろそろ、取引先の部長がくる時間だ。

俺は出迎えに行ってくるから、ちゃんと準備をするように」

課長はそう言うと、わたしたちの前から立ち去った。

会議室を出て行く彼の後ろ姿を見送った後、
「うわーっ、とうとうくるんだ…」

京やんは胸に手を当てた。

「京やん、しっかりして。

スイーツバイキングはどうするって言うのよ」

わたしは言った。

スイーツバイキングは苦し紛れと言っても過言ではない。

「よし、頑張る」

京やんが背筋を伸ばした。

スイーツバイキングで元気になった…。

恐るべし、スイーツバイキングの威力…。

そんなのん気なことを言って感心をしている場合ではない。

「単純にも程があるわ…」

彼に気づかれないように呟いた後、わたしは準備を始めた。