嘘とワンダーランド

京やんと一緒に会社を出ると、駅前のドトールへと足を向かわせた。

「早いね、昼休みに頼んだ調査が夕方に結果が出てくるなんて」

抹茶ラテをストローで1口すすると、わたしは言った。

まだ集まっていないようなことを言っていたから、結果が出てくるのは明日になるんじゃないかと思っていた。

「それが京極ネットワークの力って言うヤツだよ」

京やんは笑いながらそう言うと、ストローでカフェオレをすすった。

「さて…と」

京やんはシャツの胸ポケットからスマートフォンを取り出した。

「名前は早瀬千沙(ハヤセチサ)、新卒から保険会社の営業として働いてる。

年齢は課長と同い年の28歳だ」

画面に視線を向けながら京やんが読みあげた。

千沙さんも課長とお姉ちゃんと同じ28歳なんだ。

そう言えば、課長のことを“正文”と呼び捨てで呼んでいたことを思い出した。