嘘とワンダーランド

「何なのよ…」

課長の後ろ姿が見えなくなった後、熱くなった頬を冷ますために呟いた。

気持ちがすれ違っているのに…って、課長はどう言う意味で言ったのだろう?

結婚した当初から気持ちはすれ違っていたようなものじゃない。

「課長が何を考えてるのか、全くわからないよ…」

呟いて、熱くなった頬を隠すように手でおおった。

「課長なんか、大嫌い…」

口に含んだストレートティーは、ぬるくなっていた。


その日もいつものように帰り支度をしていると、
「若菜、いいか?」

京やんが待っていたと言うように声をかけてきた。

昼休みに頼んだ千沙さんのことがどうやらわかったみたいだ。

わたしは返事をする代わりに、首を縦に振ってうなずいた。