嘘とワンダーランド

会社の近くの定食屋へと向かっていた時、
「んっ?」

京やんが何かに気づいたと言うように言った。

「どうしたの?」

そう聞いたわたしに、
「あれ…」

京やんが指を差した。

彼が指を差した方向に視線を向けると、
「――ッ!?」

わたしは絶句した。

視線の先にいたのは、課長と千沙さんの2人だった。

何で?

どうして、課長と千沙さんが一緒にいるの?

目の前の事実に、自分の躰が震えたのがわかった。

これは一体、どう言うことなの?

そう思っていたら、
「へえ、課長って彼女がいたんだ」

意外だとでも言うように京やんが言った。

親しそうに話をする2人のその姿は、まさに恋人同士だった。