そらと夏の日

「何って、遊んでるの」

怒った気分のまま、返事をしました。どこの誰かも知らない男の子は、ゆっくりと川から視線をそらへ向けると、首を傾げました。

「ひとりで?」

そらの顔が、かっと熱くなりました。ふつふつとお腹の底が鍋で温められているような感覚がして、そらは手のひらを握りしめました。

「そうだよ。ひとりで」

なにが悪いの。そらは思いました。
別に、ひとりで遊んでいたっていいじゃない。そう言おうとしましたが、さっきそれをつまらないと思ったのは、そらです。
お気に入りの、白いワンピースの膝下を握りしめてうつむくそらを、男の子はまっすぐに見据えました。

「じゃあ、ぼくと遊ぼうよ」

そらは顔を上げて、まじまじと男の子を見ました。会ったばかりの、名前も知らない男の子に遊びに誘われるなんて。ぽかんとしているそらの手を、男の子はあっという間に掴んで、歩き始めました。