そらは、おばあちゃんの家から少し歩いたところにある、細い川のほとりで立ち止まり、覗き込みます。
川の水はとても澄んでいて、きれいです。さらさらと流れる水の中を、川魚が泳いでいるのが見えると、そらはなんだか嬉しくなりました。

けれど、ふと川に自分の顔が映り込むと、その顔から明るさが消えてしまいました。
ひとりで遊ぶと言って家を出てきましたが、具体的に何をして遊ぶのか、思いつきません。このまま帰るのも悔しいのですが、やっぱりひとりでいてもおもしろくありません。

「ねえ、何してるの？」

すると突然、隣から声がして、そらは驚きました。
見ると、そらと同じくらいの年齢の男の子が、そらと同じように川を覗き込んでいます。

そらは、あれ？と思いました。男の子の顔なんて、川には映っていなかったのに。
けれど、そんな疑問は、すぐにどこかへ行ってしまいました。そらは男の子の顔を見て、どこか不思議な心地がしたのです。それがなんなのか、そらにはわかりませんでした。