夏休みがやってきて、数週間が経ちました。
小学四年生の女の子、そらは、お盆のためにお母さんの実家を訪れていました。
そこには、やさしいおばあちゃんが住んでいて、そらの家族の他に、親戚の人たちも来ていました。
大人たちがみんなお盆の準備をする中、子供たちは家の中で遊んでいます。
外はかんかんにお日さまが照っていて、蝉がみんみんと鳴いています。
そらは、毎年恒例のこのお盆の日が、あまり好きではありませんでした。
だって、ひとりぼっちになってしまうからです。
そらは今、親戚の子供たちと同じ部屋にいます。けれど、そらは誰とも話さず、和室の隅にうずくまるように座っていました。
みんな、自分のきょうだいと一緒に楽しそうに遊んでいます。その輪の中に、入る勇気がないのです。
そらは、一人っ子でした。おまけに引っ込みじあんで、よく人見知りをします。みんながきゃっきゃと畳の上を走り回るのを、そらは見ているだけ。退屈しないはずがありません。
わたしにも、きょうだいがいたらなあ。
そらはこういうとき、いつも思います。きっと、色んな時が今よりずっと楽しくなるはずです。
そらはひとつ溜め息をついて、立ち上がりました。そっとふすまを開け、他の部屋にいるお母さんのもとへ行きました。



