「何でもないなら、どうしてそんなでっかい声出したの?」


げっ!言えね!


恵奈 は高槻さんの友達だし、賢人の恋愛相談とか高槻さんに聞いてるに違いない。


なら、こんなの言えるわけねぇ!


「そういやさ、今日鈴木花音来てたよね。」


「……!」


「可愛かったな〜。」


そうだ。恵奈は花音が賢人の彼女だったなんて知らなかったんだ。


「あの女……」


今思い出しただけで、イライラする。


「ん?なんか言った?」


ヤベッ!恵奈は花音のファンだから、こう言うの言っちゃマズイ。


「何でもねぇ。」


「何か悩みあるなら、お姉ちゃんが聞こうか?」


同い年(タメ)だろ!双子ってだけだろ。


「ねぇよ!ってか姉ちゃんって何だ、気持ち悪ぃ。」


「ひど!うちら双子なんだから、もっと相談したら?」


「お前が男ならな!」


「可愛くない!ちょっとは本気になる相手見つければ?今宵とか……」


俺は「今宵」という言葉が出た瞬間、足を止めた。


「え?あんた…まさか…今宵を…?」


そう言ってニヤニヤ笑う恵奈。


「うっせぇ!」


「どこ行くの⁉︎」「出かけてくる。」


ったく、ホントムカつく。


俺は家を出て、適当に散歩をした。