私も仏壇の前で、手を合わせた。


「私さ、好きな人ができたよ。お父さんにはまだ言えないけど、その人にもトラウマがあるの。私は、彼を救ってあげられるかな。」


にっこり笑う母の姿。「大丈夫。」と言われてるみたいで、安心する。


「絶対救ってみせる。」


そう言って和室から出て、部屋に戻り準備をした。


「よし、忘れ物なし。」


「行ってきます!」


普通ならお母さんが「行ってらっしゃい。」って言うけど、シンと静まり返って何も聞こえない。


でも、お母さんに聞こえるように大きい声で言った。


「おはよう〜今宵!」「わっ!」


急に後ろから抱きついて来たのは、恵奈だった。