「あーんして。」


あ、あぁぁぁん!?(←それ違う)


「あーん、して。」


そんなチワワみたいな顔でこっちみないで!


私は震えた手で、賢人君の口に卵焼きを渡した。


「ん、うまっ。」


そう言って幸せそうに笑う笑顔に、私も少し嬉しくなった。


「私が作ったんじゃないけどね。」


「でもうまい。」


この時間が、ずっと続けばいいのにと思う。


でも私たちがこうしていられるのも、あと二週間しかない。


だから今はこの時間を、大切にしよう。


楽しくご飯を食べると、急に賢人君がテストの話題を持ち出した。


「今宵は、今回のテスト、どうだった?」


私は大丈夫だけど、賢人君はどうだったんだろ。


「私は今までより多めに勉強したから自信はあるよ。賢人君は?」


そう聞くと、賢人君は、ニコッと笑いながら、ピースして答えた。


「俺は今宵に分かりやすく教えてもらったから、自身あるよ。」


そっか、ならよかった。


「今宵に教えてもらったおかげで、赤点取らなくてすみそうだし。」


「そう言って赤点取ったら、逆にすごいけどね。」


「おい、からかうなよ。」


そんな風に楽しくご飯を食べた後、チャイムが鳴ったので、私たちは屋上を後にした。