試合するの怖いなぁ。


勉強は出来るけど、運動は苦手なんだよねぇ。


そんな私の思いとは裏腹に、試合開始のホイッスルが鳴った。


どうか何もされませんように。


私にボールが回ってきた時、相手の一人が私の前に来た。


「貴方、安曇君の彼女になったからって、調子に乗ってるでしょ。」


はぁ!?試合中に何言ってんの!?


「貴方みたいな地味な子は、安曇君とは釣り合わないのよ!」


馬鹿みたい。相手にもしたくないな。


私はそのひとを無視して横切ろうとしたその時・・・


「きゃっ!」


足に引っかかり、思い切り転んでしまった。


「今宵!?」


すると、ホイッスルが鳴った。


「4班3番、ファール!」


「今のは歩こうとしたら、この子がぶつかって来たのよ。」


はぁ!?足出してきたのはそっちでしょ!?


心配した恵奈が私の元まで走って来た。


「今宵!!大丈夫?」


「だ、大丈・・・痛っ!」


立とうとした途端、足に激痛が走った。


「どうしたの!?」


「足、つったみたい。」


しかも結構痛い方の。


「大変!すぐに保健室行こう!!」


恵奈と一緒に保健室に行こうとしたその時・・・


体がフワッと浮いた。


え!?


「先生、今宵保健室に連れてきます。」


目の前にいたのは、賢人君だった。


っていうかこれって、昔お母さんに絵本で読んでもらったので見たことある。


これって、お姫様だっこぉぉ!?


「け、賢人君!下ろして!大丈夫だから。」


「足怪我してんだろ。いいから黙って運ばれてろよ。」


でも、みんな見てるよぉ。


「それに、重たいでしょ?」


「全然。むしろ軽い方。」


女子の悲鳴が聞こえる。


そして賢人君は私を運んだまま、保健室へ連れてってくれた。