「いや、次の場所、行こうぜ。」
俺は今宵の手をとり、次の場所へ向かった。
「この水槽、大きいねぇ。」
「ここの水族館で一番人気のとこなんだって。」
最後に来たのは、この水族館で一番人気の大水槽がある場所。
今はこのエリアには、俺と今宵の二人しかいなかった。
「人、あまりいないね。」
「チケット買う人とかいっぱいいたし、今はまだここまで来てる人はいないんだよ。」
「そ、そっか。」
やはり誰もいないことで、この場所だけ、妙に静かだった。
しばらく沈黙が続いた。
「・・・賢人君、今日楽しくなかった?」
急にそんなこと聞くから、一瞬ビクッとした。
「何で?楽しいよ。」
「でも今日、あまり目を合わせてくれないから?」
辛そうな顔してる今宵を見るのは、胸が痛かった。
「つまんないなら、言って良いんだよ。」
「違う!つまらなくなんかない!」
俺は一拍おいて、話を続けた。
「今日の今宵すげぇ可愛いから、赤くなってる顔見られたくなくて、顔逸らしてただけなんだよ。」
