「俺はパーカーの上に、ジャケットって感じかな?」



「あぁ。この前買ってたやつか。」



数ヶ月ぐらい前に朔夜と一緒に遊びに行った時に、買った服。


まだ着れっかなぁ。


「賢人。」


急に朔夜が俺の名前を呼んだ。


朔夜から聞こえたその声は、珍しく低いものだった。


「大切にしてやれよ、高槻さんのこと。」


その目はすごく真面目で、とても真っ直ぐだった。


「あぁ、もちろん。そのつもりだよ。」


俺も朔夜には、真剣に返事をした。


「泣かせたら、俺があいつを奪うから。」


そう言って、鋭い目で俺を見てる朔夜。


「心配しなくても、朔夜には渡すつもりないから。今宵を泣かせるなんてことは二度としない。」


もう、心配させたくないから。



そう言うと、朔夜はフッと笑った。


「そっか、それなら安心だな。」


それを見て俺も、フッと笑った。



その後は朔夜と喋りながら、帰路を歩いた。