「け・・・」

小さい声で「け」と発音する今宵。


お、呼んでくれんのかな?


「け・・・?」


俺はその続きが聞きたくて、ニヤッと笑いながら、今宵の言った言葉を復唱した。


「け・・・ん・・・と・・・君」


顔を真っ赤にして目線を逸らしながら、今宵は俺の名前を呼んでくれた。


ったく、どれだけこいつは俺の心を掻き乱すんだよ。

計算してんのか?


こっちまで顔が赤くなる。