「・・・賢斗のこと?」 そう言った暁君の声は、重々しかった。 その言葉に、私はコクリと頷く。 って、私何言ってんだろ。こんなこと言われても、暁君は嫌なはずなのに。 私は・・・安曇君が好き。 暁君は・・・・私が好き。 「返事、考えてくれた?」 「ごめん・・・まだ・・・」 「そっか。ゆっくりで良いよ。」 そう言って笑ってくれる顔は、優しかった。 「高槻さんが賢斗のこと好きでも、俺・・・引く気ないから。」 「・・・え?」 「じゃ。」 そう言って、暁君は中庭から出て行った。