「何だ珍しいな、お前が俺に反抗なんて。」


確かに今まで父に反抗したことなんてない。


「安曇君は関係ありません。全て私の責任です。」


「お前は、あの男に惚れてるのか?」


答えは分かってる。「あんな男止めとけ」って
言うんでしょ。


「…………はい、好きです。」


それからしばらく沈黙が続いた。


「…………そうか。」


え?それだけ?


「お前がそんな感情を持つとわな…」


そう言って微笑む父。


「………………お父様?」


「お前は昔から美咲(みさき)の側にいて、よく笑ってたのに、あいつが死んで、お前は笑わなくなった。」


美咲とは、母の名前。


優しくて大好きで、母の笑顔を見ると、自分も笑顔でいられた。


『今宵は、よく笑うわね。』


『ママが笑うからだよ。』


『じゃあ、もっと見せてね。私は今宵の笑う顔が大好きよ。』


『うん、私もママの笑顔大好き!』