「その決断、嬉しいです。 行き先は歩きながら説明します。」 こいつは、きっといいやつなのだろう。 同情で俺を救い、一緒に行動するなど 普通じゃできない。 「さあ、行きましょう。」 「はい……」 生まれ育った場所をこんなにも早く 出て行くことになるとは…… 名残惜しいのを隠し、前だけを向き、歩く。 これから先、辛いことがあったら 母さんや、この場所を思い出そう。 そのために、しっかりめに焼き付ける。