怒りもしない。ただただ優しい。 ウルトラがついてもいいくらいだと思う。 「でも、気おつけて歩いてね?」 ふわっと優しい笑顔を向けられて、ドキドキする鼓動。 聞こえてるんじゃないかってくらい、大きなそれに思わずうつむく。 と同時に、初めて彼の手にプリントの束があることに気づいた。 「それって……」 「ああ。これ、仕事の資料」 爽やかに笑う彼。 でもそれより、彼が告げた言葉に注目してしまう。 「仕事って……」 私がそう言うのかを分かっていたかのように、彼は視線を斜め上にあげた。