あと、もう少しだけ

毎日楽しくて、大きな悩み事もない。



「ここである国が出てきます。それが54ページの…」



今日も普通どおりに社会の授業を受ける…のはずだったのに。



前の席の飯田からメモが回ってきた。



あ、飯田ってのは今の俺の前の席の女子ね。



いかにも女子って感じのメモ用紙を開くと



“今日の昼休み、体育館裏に来てもらえないかな?”



書いてあるのは、それだけ。



昼休みは何も用事ないし、行くしかないか。



なんか、いつものパターンのような気がする。



俺はそのメモを四つ折りにして筆箱に放り込むと、黒板の字をノートに写しだした。



飯田がモジモジとやけに騒がしいのは、気づかなかったことにしておこう。