校舎とは違う棟にある図書館は
二階建てだ。



入口には確かに桜奈の上履きがある。



「びびってないで、行こうぜ」



他人事だから、新太もサナもあっさりできるんだ






奏は心底2人を恨んだ。






しかし、入口に広がる光景はまさに絶望的で
もう別れ話でもなんでもしてもよかった。








「桜奈ちゃん!何してるの!」






桜奈を後ろから羽交い締めにする男と
桜奈に向かい合うように立っている男が2人。







「えっ?!!奏?!なんで?!」








桜奈は驚いた顔をして、あわてて後ろの男を引き離した。






「桜奈ちゃん!何か後ろめたいことがあるなら今ここではっきりしてよ!」









サナが桜奈に詰め寄った。
桜奈は何の悪びれもなく、きょとんとしている。





奏の中で初めて桜奈に対しての憎悪が生まれた。





「桜奈、今井さんが昨日桜奈が夜、男といたって言ってたんだけど……」








すると、桜奈ははっとした顔をして今度は
必死に弁解をし始めた。




「ちがうよ、それは誤解!たまたま会ったから駅まで送ってもらったの!」







「オレが送るのを断っといてかよ、それにこいつら誰だよ」










奏は桜奈の後ろの男を睨みつけた。








「桜奈ちゃん、いい加減隠してもだめだよ」







サナがなだめるように言うが
桜奈はそれをキッと睨みつけた。



それを見た新太も黙っていられないようで


「朝方さん、それはよくないよ。悪いことしたのは朝方さんなんだから、サナに八つ当たりはよくない」








桜奈はいよいよ追い詰められたようだが
まだ口を閉ざしたままだ。








奏は改めて桜奈を見た。







下を見たまま何も言わない。







沈黙を破ったのは
後ろにいた男だった。