事件が起きたのは翌朝だった。



「奏!大変だ!どういうことだよ!」



登校早々に隣のクラスから新太が来た


「何だよ、新太。大声出すなって」



奏はとりあえず、新太を廊下に出した。





「お前知らねぇのか?!朝方さん!昨日の夜、男と歩いてたらしいんだよ!」






奏は一瞬耳を疑った。
何かの間違えだろう。




桜奈はとても誠実な子だ。
それは1年付き合ってみてわかっている。


優しくて元気があって。少しお転婆だが芯が通っていて、強い。何よりも奏を一心に愛してる。



「………何かの間違えだろう?」




奏がポツリとつぶやいた時。
サナが走ってきた





「佐田くん!大丈夫?」






「………うん。」





「サナ。本当なんだろう?」




「うん。私がみたんだもん!桜奈ちゃんが男の人と歩いてるところ!」






「………奏。サナが見たんだから間違いないよ」




奏の目の前が真っ暗になった。
桜奈はそんな子じゃない。桜奈はもっともっと………




「……今井さんの見間違いだろ、勝手に決めつけるのやめてくれよな」







それにはサナもむっとしたみたいだった。




「……何それ。私が悪いみたいじゃん………」




「証拠もないのに………決め付けるなよ………」





2人の間に険悪なムードが流れて、流石に新太が間に入った。






「……うーん……………2人とも落ち着けって。奏、今のはよくねぇな。サナは教えただけなんだしよ……じゃあさ、昼休み聞きに行こうぜ……本人に………………」







奏自身は今にでも聞きたかったが
桜奈はいつ来るかわからないから無理だった。