桜奈が帰った後
「奏、おまえ、朝方さんと平気なのかよ」
新太がいった
「うーん………最近電話もあんまりしなくなったし、デートも少なくなったしなぁ…………今井さんなにか聞いてない?」
「うーん私は特に…………桜奈ちゃんは普通に好きそうだけどねぇ…………付き合ってもうすぐ1年でしょ?」
「うん…………まあ好きって言ってくれるならいいかな」
どんよりとした空気の中、桑原がやけにそわそわしていた
「あ、桑原くん………あの話!みんなにもしてみたら?」
かおりが気をきかせて、話をそらした
「あの話??桑原、なんだよ」
こうして、話はそれたかのように思われた
「ぁ………まあただの噂話なんだけどさ」
「お、なんだなんだ」
「うちの学校出るらしいぜ」
「ちょっと、やめてよ」
サナはこの手の話が苦手らしい
「でもこの学校。まだ築30年とかだろ?でるもなにも」
新太がフォローした
「知らねぇのか。ここ、昔は底なし沼だったんだよ」
「あ、確かに地名は『亥沼』だな」
急に寒気がした
「夕暮れどき。夕日がちょうど体育館棟の陰に隠れた頃な。校内のどこかにある『亥姫』の墓の上に『亥姫』が現れる。すると、突然、校内には誰もいなくなるんだ。そこで、『亥姫』を見た者は『亥姫』の宝物を探さなくてはいけないんだ」
奏の背筋が一瞬ゾクりとした。
よくある話だ。
放課後になにか見たら、何かを探さなくてはいけない~
なんて。
