「……何か勘違いがあるかもしれねぇけど…………お嬢はおれのこと好きでも何でもないぜ?」
この場に似つかわないだるそうな声だった。
よく見るとその男は、前髪をピンで止めていて
シャツを出して、校則違反の詰め合わせのような格好をしていた。
この進学校にここまで不良がいたのだろうか
しかし、何よりもこの男が
桜奈を『お嬢』と呼ぶのも、奏は苛立って仕方なかった。
「……オレは御堂聖。高3。お前ら高2だろ?まあ誤解させたのはオレだしな、悪かったよ」
御堂と名乗る男が頭を下げた。
3人には何がなんだかさっぱり分からなかった。
「そうだね、御堂。今回はお前が悪い。御堂が一方的に、桜奈のことが好きなだけなんだよ。桜奈は悪くない」
もう一人の背の低いメガネの男が言った。
「奏、本当にごめんなさい。昨日も会ったのは御堂先輩なの。何もないからって嫌よね……」
桜奈もしおらしく頭を下げた。
誤解だったのかと思うと
途端に奏は恥ずかしくなった。
しかし、サナはまだなにか納得いかないような顔つきをしていた
