『どういうつもり?』

旦那がいつもより強い口調で話を始めた。

『本気で桃子と子供と生活して行こうと思ってんの?』

『はい』

『子供面倒見られるわけ?』

『それはやってみます』

『家のローンは?』

『少しずつでも払います』

『子供育てながら無理じゃねーの?』

『無理かどうかはやってみないとわからないし、払っていくつもりでいるんで』

旦那のほうが強い口調。
海斗はなんだかやや押され気味に感じた。
あたしは口出しできなかった。
張り詰めた緊張感と普段見ない旦那の強気な態度に正直圧倒された。

『お前だったら桃子を幸せにできるとでも言いたいわけ?』

『少なくてもあなたよりは』

『殴ってやろうか!!』

『上等ですよ、やるならいつでも外に出ますよ』

そう言って2人は車の外に出て行った。

『やめて!!』

あたしは叫んだ。

そして2人は殴りあいになった。
真剣に殴りあう2人の姿を見てしばらく動けずにいた。
旦那が海斗を殴ろうとしたとき、無意識にあたしの体は海斗の目の前に立ちふさがった。
そして旦那のパンチを喰らったあたしはそのまま海斗の胸に倒れこんだ。

『桃子ぉ!』

海斗の声だけがあたしに聞こえた。