向日葵色の恋【完】

「パパ楽しみだね!」



そんな小さい子の声が聞こえる。



(楽しみ…?)



と、次の瞬間。



「あ、え、ちょ、」



水の流れが今までの倍早くなり、私は立っていられなくなった。



「ちょ、先輩!」



伊澄くんの声もどんどん遠くなり、人と人の間へと入り込み、芋洗のようにもみくちゃにされる。



気づくと周りには知らない人ばかりだった。



「い、伊澄くーん…」



なんとなく呼んでみるが、もちろん伊澄くんは近くにいない。



無駄に広いこの流れるプールで、1人の人を見つけようなど無理に等しい。



「わわ…」



邪魔だと言わんばかりに、若いカップルに押される。



なんだか急に心細く感じた。