向日葵色の恋【完】

「先輩いっしょに滑りましょーよ」



「え」



あろうことか伊澄くんはそんなことを言う。



「え、ええ、えん、遠慮しとくよ…」



絶叫系なんて小さい頃に失神を起こしてトラウマだし、ウォータースライダーなんてもってのほかだ。



「怖いんすか?」



またか。



またそうやって煽るのか。



「怖いわけないじゃん…」



「じゃあ滑ってどうぞ?」



口の端を吊り上げ、意地悪く笑う伊澄くんに言い知れぬ何かが湧く。



「こんなの朝飯前だわ〜〜〜」



肩を回す私を、やれやれと見ていた人がいたことを私は知らない。