向日葵色の恋【完】

「オレが隣じゃ不満なんすか?」



子犬のような目をして私を見るから、うっ…とたじろぐ。



確信犯なのを分かっていて許してしまう自分の弱さたるや…



「あ、飴もらうよっ」



「は〜い」


伊澄くんはニヤニヤしながら、私に飴を渡す。



口の中に広がるイチゴ味。



飴を転がしながら風景を眺めていると、後ろの方から小さな声が聞こえた。



「あたしは嫌だから…」



「俺疲れたんだけど」



声からして輝と芽依ちゃんだろう。



(喧嘩?)



「なんでお前に雫輝のこと…」



輝の声がそこまで聞こえたとき、バスが大きく揺れ、聞こえてた声は途切れてしまった。



(私…?)