芽依ちゃんの様子からして、喧嘩でもしたのだろうか。



時計の針は、もう9時を回ろうとしている。



「もうバス来ちゃいます…」



1年生の後輩が、ぼそりと呟く。



みんながソワソワし始めた頃、輝らしき人影が遠くに見えた。



「あれ輝?」



私が言うと、千陽ちゃんも目を凝らし見て、



「そう、っぽいね」



小さく頷いた。



「輝ー!!」



私が叫ぶと、輝は片手をあげて小走りになった。



横から視線を感じてチラッと見ると、眉間にシワを寄せ私を睨んでいる芽衣ちゃんと目が合う。



(アカン)



咄嗟に目を逸らし、輝に振っていた腕を下ろした。



つい、いつもの癖でなめた真似を…