「え、プール?」



お母さんの病気と前向きに戦いながら数日がたったある日。



伊澄くんから電話があった。



『打ち上げなんですけど、昼間はプール。夜はホテルに泊まるらしくて』



「ほ、ホテル…!?いくらかかるの一体…」



プールといっても、市民プールでもないわけだし、金額もばかにならないはずだ。



それにホテルも合わせたら、一体いくらになるのか…恐ろしい。



『それがそのホテル、1年生部員のお父さんが社長らしくて、タダらしいんすよ』



「た、タダ!?!?」



現実にこんなことがあっていいものか。



こんな話し、漫画の世界だけかと思っていたけど…



『プール料金は1人1000円です。もちろん行くでしょ先輩』



私が行かないから、打ち上げを先延ばしにしてもらったのだ。



行かないという選択肢は、もはや私には残っていなかった。