リビングからは、何かを焼く音がする。



顔を覗かせると、お父さんが真剣な顔で卵を焼いていた。



「お父さんおはよ」



声をかけると、私を見つめて泣きそうな顔をするものだから、こっちまで泣けてくる。



「おはよう雫輝」



お父さん心配かけてごめんね。
もう大丈夫だから



「一緒に頑張ろうね、お父さん」



「もちろんだよ」



やまない雨は、この世にない。