「落ち着いた?」



「ん…。ありがとう輝…」



指で私の涙を拭う輝。



眉を下げ、慈しむような優しい微笑み。



そんな顔しないで。



そう言いたくなる。



「雫輝」



「ん…?」



私の名を呼び、頭に手を乗せ優しく叩きながら。



「泣いてちゃだめだ」



本当にこの人は。



私を分かり切っているのだろう。



「お母さんは必死に生きてる。なのに何で雫輝が泣いてるんだよ」



輝の声が、真っ直ぐ胸に響いてくる。