「あんた笑ってないじゃないの」



「爆笑してるしてる心の中で」



「美涼今日の「宮田先輩!!!」



私が美涼に話しかけようとした声は
誰かの声で遮られた。



ハッと扉の方に目をやると伊澄くんが立っている。



よほど私を探していたのか



肩で息をするその額には汗がにじんでいた。



「い、伊澄くん」



「どこにいたんすか?結構探したんすけど」



「ごめんね今日遅刻しちゃって!ところでどうしたの?急用?」



「この前これ、部室に忘れていきましたよね?」



そう言って渡されたのは、私が気に入っていたタオルだった。



私の好きなキャラクターがプリントされていて



タオルにしては少し高い値段のものだ。



「あ!!!これ探してたの!ありがとう!!」



「大事なもんなら置いていかないでくださいよ先輩」



「えへへ」



伊澄くんが呆れたように笑うから



その顔を見れずに頭をかいた。