「いわゆる、植物人間です」



男の人は言った。



お母さんを見ながら、そうつぶやいた。



「お母さん、早く帰ろうよ。向日葵畑、また一緒に行こうよ」



お母さんを揺らすが、反応はない。



こうやって見てると、ただ寝ているだけで、起こせばすぐ起きるような気がするのに。



「お母さん起きてよ……寝たふりなんてしないで早く起きてよ!!!!」



「雫輝…!」



高校3年生にもなって、私は大声をあげて泣いた。泣き叫んだ。



男の人を責めた。



医者のくせしてどうして治せないのかと、辞めてしまえばいいんじゃないかと。



筋違いなのは分かってるけど、そう言わずにいられなかった。



私には、誰かを責める他なにもできなかった。