受付を済ませ、しばらくすると男の人がやってきた。



白衣に身を包んだその人は、お父さんの元へと寄り



「私たちではもう…」



そう一言だけ放った。



その言葉は、私を奈落の底へ落とすには容易すぎた。



「お母さん…?」



私は病院を無我夢中で走り、お母さんのいる病室へと駆け込んだ。



後ろでお父さんが名前を呼んでた気がしたが、気づかない振りをした。



病室では、お母さんが寝ていた。



気持ち良さそうに。



酸素吸入器をしたその姿に、涙が溢れて仕方がなかった。