学校で待つこと5分。



お父さんの車が見えた。



その車に乗り込み、雰囲気が重たいことを察した。



鼓動が速くなる。



車の行き先が家じゃないことくらいすぐ分かった。



何も喋らないお父さん。



沈黙が包む静寂。



「お父さん…」



呼びかけてもお父さんの返事はない。



ハンドルを握るその手に、力がこもったことを
見つめることしかできなかった。