向日葵色の恋【完】

「輝が側にいてもいなくても、私は私だよ」



輝がゆっくりと顔をあげた。



夕陽で照らされる、少しだけ困った顔。



「これからは、伊澄に居てもらったほうが、雫輝も幸せだろうしな」



「…なんで伊澄くんが出てくるの」



伊澄くんの名前が輝の口から出ること、知りもしない事情を、輝が知ったように言うこと、なんだか腹立たしく。



「誰かに面倒を見てもらわなきゃ何もできないような、そんな子供じゃない」



「だって伊澄は「先輩〜?余計なこと言わないで下さいね〜」



男子更衣室から、伊澄くんが荷物を持って出てきた。



「伊澄…」



「彼女のいる男が、女と2人きりなんかになったりして。誤解されちゃいますよ?」



伊澄くんの口は笑っているが、その目は輝を捉えて離さない。