向日葵色の恋【完】

「うん、ありがとう」



夕陽に照らされた顔に、微かに影が降りる。



パサリ、輝の前髪が表情を隠した。



「輝…?」



「俺、付き合うことになった」



人間という生き物の性質なのか、女という性別の本能なのか、私という性なのか。



何がそうさせたのか知らないけど、私は咄嗟に笑っていた。



「おめでとう」



輝の顔を真っ直ぐに見つめるけど、見つめているのかさえ分からなくなっていた。



私の目は輝を見ながら、輝を通り越していたのかもしれない。



「もう雫輝の横にいてやれない」



「やだなあ。あの日以来まともに話したのなんて、片手で数える程じゃん」



横にいる、なんて。



そんな大袈裟なものでもないくせに。