伊澄くんが時々わからない。



何を考えているのか。



何を企んでいるのか。



何を望んでいるのか。



私が輝と話さなくなってから、その不思議さは増した気がする。



「雫輝帰ったのかー?」



「あ、うん!ただいまお父さん!」



玄関で動かず考える私を不審に思ったのか、お父さんが声をかける。



リビングでは何かを炒めている音が聞こえていた。




「最近輝くんのこと見なくなったけど、なんかあったのか?」



「え?」



リビング行くと、お父さんがフライパンを揺らしながら私に話しかけた。



「な、何かって?」



少しだけ図星をつかれたようで、言葉に詰まる。