「ねえ伊澄くん」



「はい?」



「ありがとね」



本当は毎日言いたかった。



支えてくれてありがとう、と。



「ちょ、なんすかいきなり気持ち悪い…」



「き、気持ち悪いってなに!?」



月の見える夜道、向日葵畑。



2人で帰るのはもはや恒例だった。



「少しは輝先輩のこと、考えなくなりました?」




「…うん」



あの喧嘩以来、まともに話した記憶は皆無に近い。



お昼休みにも、輝は顔を出さなくなった。



美涼が聞きにいけば、「特に何もない」だそうで。



何もなかったらメンバーから抜けますかって話しなんですけどね、嘘が下手ですね。