「雫輝って異性と2人きりになることに、何も感じてないの?」



「だって物心ついたときから輝と一緒だったもん。感じろって言われたって難しいよ」



「それとこれとはまた別でしょ〜」



「私にとったら別じゃないもーん」



輝も伊澄くんも私にとったらみんな同じ。



一緒に帰ったり、自転車の後ろに乗ったり、2人きりで話したり。



そんなものは、同性でも異性でも関係ない、友達というくくりの中の一部だ。



「意外と残酷なのね、雫輝って」



「ハァ?」



「それも雫輝の魅力なのかもね〜」



美涼にクスクス笑われているうちに、HRが始まるチャイムが鳴った。



視界の隅で、輝が机に突っ伏しているのを確認しながら席につく。



いつもの1日が始まろうとしていた。