今日も昨日と同様、朝少しだけ早く家を出た。



授業の始まる30分前に、学校へつく予定だ。



蝉の声を四方八方から受け止め、蒸し暑い朝の道。



夏を実感させる青い空と入道雲に、少しだけ眉根を寄せた。



「雫輝おはよ」



「あ、おは……よ…?」



背後から声が聞こえ、振り返りながらあいさつをすると



「て、輝!?」



輝が眠そうな目をこすり、そこにいるではないか。



「な、なんでいるの…」



「早く行きたい気分だっただけ」



つっけんどんに返す輝の言葉は、どこかの誰かさんと同じ言葉だった。




「じゃ、先行くから」



「あ、う、うん」



今までと違う、壁があるような距離感。



輝の背中が遠くなっていく。
また、遠くなっていく。