「あ、あの赤い屋根が私の家!」



「了解」



家の前で止まった自転車から降り、伊澄くんに向き直る。



「ごめんね伊澄くん」



「え?」



「送らせちゃって」



私がそう言うと、伊澄くんはそんなことかと笑った。



「オレが送らせてほしかっただけなんで。楽しかったです。ありがとうございました」



伊澄くんはにっこりと歯を見せた。



ほんとにできた後輩を持ったものだと、1人感動する私。



「じゃあ、伊澄くん気をつけてね?」



「はい。またあしたね先輩」



「うん!ありがと!」



伊澄くんは私が家に入るまでずっと見送ってくれた。



いくら早く行きなとジェスチャーしても、笑って誤魔化される。



空には満天の星が広がっていた。