「近道通らないの?」



「近道通ったら早く先輩の家着いちゃうじゃないっすか」



「だめなの?伊澄くんだって早く帰らなきゃ」



「わかんないかなぁ先輩は」



腰に回した手から伝わる、伊澄くんの揺れ。



クスクス笑いっぱなしなことが感じられた。



「え、なになに!?」



「や、とりあえずオレは近道したくないんで普通の道教えてくれますか?」



「え、あ、うん?」



伊澄くんが少しだけ横を向き、私に笑いかけた。



やっぱり男の子だけあって、いくら後輩だとはいえ私より背は高い。



背中だって広いし、腕も足も筋肉質で、首も全然違う。



改めて見ると、伊澄くんは立派な男の子で。



なんだか頼もしく感じた。