「私の家知ってるの?」



「知るわけないじゃないすか。ちゃんと言ってくんないとオレんち連れて行っちゃいますからね」



「そ、それは大変…!」



クスクス笑う伊澄くんは、なんだかいつもより楽しそうに見える。



「なんか楽しそうだね伊澄くん」



「楽しいですもん。今まで生きてきた中で今が1番」



「それは盛りすぎだよ〜」



今までイライラしてたことが嘘みたいに。



心の中のわだかまりが晴れたようなスッキリした気分。



素直に笑える自分がいた。



「あ、そこ右に曲がると近道だよ」



「じゃあオレ真っ直ぐ行きますね」



私の声を無視し、真っ直ぐ進む伊澄くん。



その顔はやっぱり楽しそう。