「今日様子おかしくない?雫輝」



「え、や、そう?」



「いつもおかしいけどいつも以上にさ?」



「もう立ち直れない」



部活に行くまでの廊下、美涼が隣を歩いた。



美涼は帰宅部でとくに部活はないため、これから彼氏に会うのだとかなんとか。



幸せそうで何よりですよ。ペッ



「雫輝がね、輝を好きなのはすごく分かるけどもう少し「ちょ、ちょっ、ちょっとまって!!?」



美涼の言葉を大声で遮るそのときの私は、どれだけ焦っていたのだろう。



きっと耳まで赤くして、首を振っていたに違いない。



「や、やだなぁ美涼はぁ!!!わた、わた、わひゃしが輝を、す、す、好きって何を根拠に、そ、そ、そ、そんなこと…っ」



「今まで根拠がなかったとしても、今のあなたが根拠でしょ分かりやすい…」



「す、好きじゃないよ!!そりゃもちろん幼馴染みだし大好きだけど!」



「輝と芽依ちゃん付き合うって話しでてるけど。別に構わないってことね?」



美涼が至極冷静に。だけどまっすぐに伝えた言葉を、私はどれだけ耳に残せていただろうか。



ただもう1度確認したくて。



「え……?」



「ただの噂だけど、輝と芽依ちゃんが付き合うかもって噂が立ってるの」



「…」



「でも火のないところに煙は立たないでしょ?もしかしたらってこともあるわけ。それでもいいのね?」



美涼が試すように聞いてくる。