それからの授業に輝の姿は見えなかった。



どこに行っているのかは分からないが、私と同様授業を受ける気にはなっていないのだろう。



「宮田ー」



私だって出来れば授業なんて受けたくないし、今すぐ抜け出してしまいたいほど憂鬱だ。



「みーやーたー」



それさえできない私はやっぱり臆病者で小心者なのだろうか。



「宮田ァ!!!!!」



「あだッ」



いつの間にそこにいたのか、数学担当の山岸先生が私の目の前で丸めた教科書を握っていた。



その教科書で叩いたことは一目瞭然。



(いつも教科書は大切に使えって言ってるくせに)



頭をさすりながらそんなことを考えた。



「話しなんて聞かなくてもいいが聞いてる振りはしとけよ宮田」



「は、はーい」



優しいのか、ただテキトーなだけなのか。



ただ言えることは、今の私にはありがたい言葉だったってことだ。